2026.2.18
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「SCHシンポジウム西日本」閉幕!!

#シンポジウム#大崎上島#教育#離島#風の谷

SCHシンポジウム開催報告

光陰矢の如し。いつのまにか年が明けて、いつのまにか2月も下旬に差し掛かろうとしています。今年度もあと1ヶ月と少しで終わり。ようやく、言葉にできるようになったシンポジウムについて報告します。

昨年10月のことになりますが、教育シンポジウムを開催しました。

名称は「SCHシンポジウム西日本」です。

SCHシンポジウムとは、山形県の東北芸術工科大学からはじまった“高校と地域の協働を考える”シンポジウムです。( SCHとはSuper Community High schoolの頭文字をとったものです。)

2015年春、東北芸術工科大学のコミュニティデザイン学科の皆さんが中心となり、第1回SCHシンポジウムが開催されました。それはちょうど、大崎海星高校魅力化プロジェクトが本格化した年の3月のことでした。

それ以降、毎年開催されるSCHシンポジウムに、魅力化プロジェクトのメンバーで高校と地域の協働についての最新情報を得るために参加していました。あのとき現地で出会った人たちは、各方面で活躍中です。

あるとき、大崎海星高校の生徒がそのシンポジウムに参加し、最後のアクションプラン宣言で、参加者全員の前で、こう言い放ちました。

「このシンポジウムを大崎上島・大崎海星高校で開催したい!」

その半年後、2018年夏に、第1回SCHシンポジウム“西日本”が開催されました。

以来、毎年1回の開催を重ね、今年度、第8回目を迎えました。

今年も、大崎海星高校の全面的な協力のもと、地域系部活動の「みりょくゆうびん局」を中心としたメンバーや、卒業生、まなびのみなとのメンバー、地域の人たちも含めて多くの方々の力を合わせて開催しました。

これまでの10年、これからの10年

8回目となる今回のシンポジウムのテーマは「これから10年の学校と地域の協働を語ろう」です。

今、全国では、人口減少による学校の統廃合が進んでいます。そんな中で、地方の小さな学校で、広がりを見せてきたのが「高校魅力化プロジェクト」です。

県立高校での学びを、県教育委員会だけにお任せではなく、市町村や地域住民、そして企業をも巻き込んで、魅力的なものにしていく。そして、子どもたちが「通いたい」、親が「行かせたい」、全国からも「進学したい」、教員も「働きたい」と思える学校を目指す。そんな取り組みです。

私たちの法人はこのプロジェクトがきっかけで生まれたため、すべての活動の起点は、この高校魅力化プロジェクトにあります。

大崎海星高校魅力化プロジェクトは2014年にはじまって今年で11年目。

これから先の10年を見据えたとき、地域と学校の未来はどうなっていくのか。現状維持だけでは、いずれ限界が来ることは明白です。

「これから10年、地域・社会がどう変容していくのか。そして何を目指せばいいのか。」この問いを持ち、学び直す必要性を強く感じていました。

未来の分岐点と高校魅力化

そんな課題意識のなか、今回のSCHシンポジウム西日本では、太田直樹さんに基調講演を依頼しました。

太田直樹さんはNew Stories代表として、地域にどっぷり関わりながら、「風の谷を創る」のムーブメントのコアメンバーでもあります。

私たちの依頼に対して、ご多忙にも関わらず、二つ返事でokということで、前日から大崎上島入りをしてくださり、我々としてはなんとも贅沢な時間でした。(その翌々月、12月からは内閣官房参与DX担当として国の仕事に戻られました。)

当日、基調講演では、「未来の分岐点と高校魅力化」というタイトルで、お話をしていただきました。以下がポイントです。

  • 今、日本社会は、「都市集中」と「地域分散」のどちらの社会モデルを選ぶか、分岐点に立っていること。
  • 「地域分散」モデルの在り方として、「風の谷を創る」運動論が始まり、その知見として、地域分散を実現するためには、都市からのお金の輸血や未来からの借金への依存度を低減し、一人あたりの創出価値を高めていくことが重要であること。
  • 真鶴町の美の基準について 
  • 社会は、複雑に絡み合う系で出来ており、高校魅力化は、その系にかけられる“梯子”の一つではないか。

太田さんからの情報提供を受けて、参加者で、テーマ別に分かれ、ディスカッション。


アクションプランの宣言

そして、最後は車座になって学びや気づきをシェアして、A4の用紙にアクションを宣言しました。

私の宣言は、「『枠』を外す」でした。

この日、語られていたことは、人口減少局面における地域社会は、これまでのやり方では通用しないということ。これまでチャレンジしたことがないようなやり方で取り組まなければ、希望溢れる未来はない。つまり、「システムチェンジ」だと。

今思えば、同じ月にお会いした「関係人口」という言葉をつくった株式会社雨風太陽の高橋博之さんも同じようなことを言っていました。

翌月11月のデンマークの教育視察でも、現地の方々が同じようなことを口々に言っていました。

さらに、1月の東京都立大学の佐藤真久さんの協働体制の研修でも同様のことを聞きました。

佐藤さんは「線形的思考の限界」を繰り返し説いていました。「課題が複雑すぎて、これまでの課題を要素分解して線形的に解決するやり方ではもはや解決はできない」と。「システムチェンジ」だと。

SCHシンポジウム西日本の閉幕。


最後は、思考の過程や宣言したアクションと一緒に集合写真をパシャリ。参加者の皆さんはそれぞれ第一線で活躍する人ばかり。遠くは、宮城県気仙沼、東京、岐阜、愛媛など県外からの参加もありました。参加者、スタッフ、ゲスト合わせて30名での学びの場でした。

プログラムを終えて、参加者の皆さんの、なにか晴れ晴れした表情が印象的でした。


参加者の感想と、太田直樹さんが書いてくださったブログの言葉を紹介します。



参加者の感想より(一部抜粋)

・とても良い会でした。講演の内容も少しシビアに考えて行動が必要だと気付かされました。

・太田さんの講演、高校生との対話、非常に楽しくためになるものでした。

・高校生、大学生含め参加者同士の今の活動や悩み、ビジョンを知ることができた、各地域だからこその価値を高めるために何が必要かを考えるための新たな切り口が得られた。

・いろいろな人と交流ができ、新しい発見や情報を得ることができました。

・数値化できる(見える)価値と数値化できない(見えない)価値。後者をどう意味づけていくか。

・数ではなく質による価値や、地域の魅力が高校とどのように結びつくか、都会と田舎の違いは何かなど、生徒募集を自分がする上でとても勉強になった。


太田直樹さんのブログより

参加者の皆さんから、それぞれの思いが込められた「10年先の姿」が共有されました。いくつか共通点がありました。その一つは、高校魅力化が量の節を打てたいま、次の10年は質ー学びと地域の”美”をどう編むか、ではないかという未来です。


SCHシンポジウム西日本は今回を節目として、閉幕します。
8年間、本当にありがとうございました。

しかしながら、進むべき“一歩先”を、実践者が集って、対話し、ともに考える場が必要なことに変わりありません。

これからも、そんな場を皆さんとともにつくっていきます。
なぜならば、私たちのビジョンは、「誰もが学びに出会える日常を」だからです。

最後に、本シンポジウムの立ち上げから、ご尽力いただき、そして、私たちの一歩先を照らし続けてくれた故 浦崎太郎先生へ、心からの感謝の意を表し、本報告の結びとさせていただきます。

(文責:取釜・笠井)


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当日いただいたお話の要点を引用します。

  • 2050年に向けて社会のシナリオは様々だが、大きな分岐点として「都市集中」か「地域分散」がある。そして、その分岐点は2020年代後半という研究(京都大学と日立の共同研究、2017年*2)がある。
  • 地域分散の一つの運動として「風の谷をつくる」が、2017年から始まった*3。風の谷のアプローチの一つとして「エコノミクス視点から逃げない」がある。その一例として、一人あたりの社会インフラコストと創出価値がある。人口密度が下がるほど、コストは高まり、価値は下がっていくのが現状。この差は都市からの輸血(交付金等)と未来からの借金(地方債等)で埋めている。
  • 谷では、空間という観点でこの構造を変えていく。例えば、コストの大きな部分を占める道路のあり方。また、土地を読むことで、忘れていた価値の源泉が見えてくるのではないか。風の谷のアプローチは、課題の裏返しではなく、系として考える。
  • 複雑に課題が関わり合うネットワーク図が系の一つだが、系には梃子が効くポイントがある。一つの枠組みとして「未来ビジョン」「チャレンジ」「次世代教育」「地域コミュニティ」がある*4
  • 高校魅力化は教育を起点に地域の魅力を高める梃子の一つではないか。

(太田直樹さんのブログより引用、https://kozatori7.hatenablog.com/entry/2025/10/13/160814)

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