エンターテイメント型ゴミ拾い「清走中 大崎上島編」を、大串海岸エリアで実施しました。
島内外からなんと115名の方々に参加頂き、2時間のプログラムで約98kgのゴミが集まりました。
「島に、新しい祭りをつくる。」
私たちがこのイベントに込めた大それた意気込みに負けないほど、子どもも大人も、参加者もスタッフも、みんなで汗だくになって笑いながらゴミを拾う、海を想う、そんな熱気あふれる1日になりました。
「清走中 大崎上島編」開催経緯はこちら
https://manabinominato.or.jp/%e3%82%b2%e3%83%bc%e3%83%a0%e6%84%9f%e8%a6%9a%e3%82%b4%e3%83%9f%e6%8b%be%e3%81%84%e3%80%8c%e6%b8%85%e8%b5%b0%e4%b8%ad-%e5%a4%a7%e5%b4%8e%e4%b8%8a%e5%b3%b6%e7%b7%a8%e3%80%8d%e3%82%92%e9%96%8b%e5%82%ac/
海ごみ問題を語るとき、よくキーワードとして上がる「2050」という数字、ご存じですか?
環境省によると、世界では毎年800万トンのプラスチックごみが海に流出しており、2050年には海のプラスチックゴミが魚の重量を超えるとも予測されています。今から28年後、未来の海はどのような姿になっているのでしょうか。
「魚が大好きな子どもと一緒に、海をキレイにしたくて」
小さなお子様と二人三脚で清走中に参加して頂いた保護者の方も多くいらっしゃいました。
参加者の半数以上が、学生(子ども)の皆さん。
コロナ禍でできなかった「子どもと大人が一緒に学び、一緒に楽しむ」島内イベント。
思い描いていた光景をようやく大串海岸で見ることができました。
ゴミ拾い活動エリアとなったのは、海岸だけではありません。
住宅エリアに点在するチェックポイントを巡ってクイズミッションに挑戦し、広島叡智学園の体育館がミッションアイテム交換所に変身し、キャンプ場エリアに隠された謎のアイテムを探す。
「その日、君の街が巨大なゲーム空間になる」
清走中のキャッチフレーズの通り、大串地区一帯がまるでゲームの舞台になったようでした。
また、広島県特有といわれる牡蠣の養殖に使われるプラスチック片をミッションアイテムとして指定することで、昨今問題視されているマイクロプラスチック問題を知る・考えるきっかけづくりを意図しました。
「海に落ちているこの棒、ずっと何かなと思っていたんです」
そんな声を何度も聞きました。
(通称”豆管”と呼ばれているそう)
島内の学校に通う中高生は、運営ボランティアとしても大活躍。
大崎海星高校から10名、広島叡智学園から7名の中高生が参加してくれました。
事前の打ち合わせとオンラインでのやりとりを重ね準備してくれた皆さん。
「清走中 大崎上島編」の大成功は、縁の下の力持ちに徹してくれた学生パワーに支えられていました。
ゲームの最終局面を盛り上げる“ハンター”&“ポリス”も中高生が務めます。
(当日は炎天下。スーツを着て海岸走り抜ける体力に大人は脱帽…)
さらにさらに。
集めたごみの重量×クリアミッション数を総合して表彰される1位チーム、通称「清走の神賞」に選ばれたのは、またまた学生の皆さん。広島商船高等専門学校の4人組。みんなが振り向くほどの元気さで清走中を盛り上げてくれました。
こうして、記念すべき”第1回”清走中 大崎上島編は幕を閉じました。
5月とは思えない暑さ。1年ぶりに、夕方の涼しい風が汗を乾かしてくれるあの感覚を思い出します。
「2050年の海はどうなっているんだろうか。」
夕方の海を眺めながら、そんなことをぼんやり思いました。
海岸のはしっこでは、海へ飛び込む男の子たちがはしゃいでいます。
2050年の海にも、子どもたちは無邪気に海へ飛び込めるんだろうか。
海に飛び込む気持ちよさ。
服を着たままみんなでダイブする背徳感の共有。
足の指が砂だらけになって、あとからやってくる後悔。
そんな海での思い出を、海がなければ味わえないアの気持ちを、2050年の子どもたちにも味わってほしい。そんなことを思いました。
「来年もやりたい!もっと楽しいイベントにできるでしょ!」
高校生スタッフの誰かが元気に放ったその言葉で我に返りました。
こうやって、祭りはできあがっていくのかもしれない。
誰かの強い想いに、みんなで楽しさや興奮や切なさやあれやこれやの感情を乗っけて、色んな人が集う機会になればいい。
強い想いできっかけをくれた、株式会社Gabの北村さん。
一緒に清走中をつくりあげたまなびのみなとメンバーと学生ボランティアのみんな。
参加してくれた、ゴミを拾って頂いた皆さん。
本当にありがとうございました。またいつの日か、みんなで清走しましょう。
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ちょっとだけ後日談。
大崎上島では、毎週木曜日の朝、漁師の朝市が行われています。
漁師の皆さんが自ら道端に立って、鮮魚や鯛めしを販売しています。
ある日の朝市。2人の若者が、熱心に説明を聞きながら魚を選んでいます。
「漁師の朝市の存在自体も知らなかったです。こんな機会がないと来なかったかもしれません」
そう語るのは、清走中に参加してくれた広島商船高専に通う学生2人組。
清走中 大崎上島編の上位入賞6チームには、島内で使うことができる割引きクーポン券や商品が授与されました。
見事入賞した彼らは、漁師の朝市で使用できる「清走の王賞」クーポンを握りしめていました。
自分たちの手でキレイにした海でとれた魚を食べる。学校へ行く前に、漁師の方から直接買える。
島の学生にしかできない贅沢かもしれません。
「わざわざお金を払ってゴミ拾いするなんて…」
そんな声も無かったわけではありません。
でも、朝からこんな姿を見かけてしまうと、
「お金払ってゴミ拾いをするのも悪くないでしょ?」
そんな風に思うのでした。
清走中、おそるべし。
(清走中 大崎上島編事務局・勝瀬)