昨年度に引き続き、一般財団法人 地域・教育魅力化プラットフォーム様と当社の共同ア
レンジにより、大崎上島を舞台にした 2 泊 3 日の企業研修を開催しました。
集まったのは、最前線で活躍する金融系の企業人たち。「小さくてもいいから、この島で
具体的な結果を出したい」そんな強い意気込みを胸に臨んだ、濃密な 3 日間のレポートで
す。
今回の研修で掲げたテーマは、
『次世代に「働きたい・暮らしたい」と選ばれ続ける島であるために、どのような「産
業・仕事」が必要か?その土台となる「暮らしの基盤(交通・住居・医療・子育て・デジ
タル環境)」をどう整えるか?金融機関はそれらをどう支え、加速できるか?』
という、地域の未来に直結する非常に重要かつ難易度の高いものです。
事前セッションを経て、並々ならぬ熱量を持って参加者の皆さんが大崎上島へとやってき
ました。
■ 1 日目:現場の声を聴き、東京との「ギャップ」と課題の解像度に直面する
初日は、島を支える重要な産業の担い手から、リアルな経営課題をヒアリングしました。
まずは、町役場を訪問。
「教育の島」を 10 年間進めてきて現在は「学びの島」を推進する課長にこれまでの経緯
や町として目指しているものをお話頂きました。
短時間でしたが、町の全体像をつかむことができました。
次に、地元の漁師さんにヒアリングを実施。深刻な磯焼けによる海藻の激減や気候変動な
ど、海の生態系が激変する中、漁獲量の不安定さや島内市場の縮小という厳しい現実に直
面されていました。「週 5 日働いて自立できる漁業」という理想を掲げるものの、ブラン
ド化や他業種連携、販路拡大の仕組みづくりには人手も資源も足りず、理想の規模感に悩
み続けています。しかし、地域の漁協が存続の瀬戸際に立たされる中でも、リスクを背
負って飛び込んできた貴重な若手への技術継承や、個人の直販・釣船事業といった多角化
により、島で生き残るための小さな「成功モデル」を必死に構築しようとする姿が強く印
象に残りました。
「商業ベースにのせれば解決する課題ではない。」
現場のリアルな課題を聞いて参加者の悩みは大きくなりました。
次に、島を代表する造船所の副社長にお話を伺いました。変化の激しい国際市場において、
液体貨物船というニッチ領域に特化し、1〜2 年単位で技術を刷新する「逃げ場をつくら
ない経営」で高い競争力を維持されています。しかしその裏では、大企業並みの資金が動
きながらも中小企業枠でしか評価されない金融・与信のジレンマや、深刻な世代間の人材
空洞化、外国人材の生活環境の確保といった、地方特有の重い経営課題を抱えていらっ
しゃいました。「自分が造った船が世界を走る」というモノづくりのロマンや移住の豊か
さを掲げて若者を惹きつけつつ、保守的な行政に対しても「造船と教育」で尖った地域プ
ロモーションを仕掛け、挑戦を評価する風土への変革を投げかける姿勢に、参加者一同、
圧倒されました。
1 日目を終えた参加者からは、
「東京で感じていたことと、現地での困りごとの『肌触り感』には大きなギャップがあ
る」
「課題の解像度が格段に上がった。現場で付加価値は作れているが、それを地域全体の経
済循環に変えるにはどうすべきか?」
といった、深い内省の声が上がりました。
初日の夜は、地域の方々による地域の食材をつかった夕食でした。なにを食べても美味し
い。初日の振り返りをしながら翌日以降を考えて少し早めに終了となりました。

■ 2 日目:身体を動かし、次世代と交わり、地域のリアルに触れる
2 日目は、大崎上島の伝統文化である櫂伝馬の乗船体験からスタート。大崎上島のお隣り
の島、生野島を目指して全員で漕ぎ出しました。インストラクターのアドバイスを受け、
少し練習すると驚くほど櫂の動きが揃い、船はぐんぐんと進んでいきます。
体験後、参加者からは
「一番櫂と七番櫂では役割が全然違う!」
「適材適所を考えたとき、自分のチームなら自分はどこに適しているだろうか?」
といった、組織論やチームビルディングに紐づけた気づきが生まれていました。

昼食は、今回のテーマの主役でもある地元の高校生たちとのランチセッションです。「次
世代」が日々どんなことを考えているのかを丁寧にヒアリングしました。
大人に対しても堂々と自分の考えを自分の言葉で伝える姿に圧倒されました。


その後、高校生たちのリアルな声をもとにした大人の議論はさらに白熱。
「大崎上島にいるような熱量の高い大人を日本中に増やすにはどうしたらいいか?」
「そもそも『暮らす』と『働く』はつながるべきなのだろうか?」
といった、本質的な問いについて深く考えを巡らせる時間となりました。
高校生たちからも、
「普段なかなか会えない人たちと話ができて良かった」
「この体験がすごく勉強になる」
「自分の探究学習のテーマを相談できた」
といった嬉しいコメントをもらい、世代を超えた有意義な交わりとなりました。

その後は、各チームに分かれて島内を散策。神峰山にのぼったり、島唯一の醤油屋さんを
訪問したり。自然に触れたり、地域住民と交流したり、大崎上島を堪能しました。この日
は最高の天気でした!

夜はその日開催されていた地域のイベント「ユウヤケバル」にて、島の美食に舌鼓を打ち
つつ、住民の方々のリアルな声をリラックスした雰囲気で聴くことができる、貴重な交流
の場となりました。様々な立場や世代の人とフラットに地域のことや仕事のことを聞くこ
とができました。


■ 3 日目:熱量が生んだアウトプットと、これからの展望
最終日は、2 日間の膨大なインプットとヒアリングをもとに、具体的なアウトプットへ向
けた議論を行いました。
参加者は 2 グループに分かれ、それぞれ「観光」にフォーカスしたアイデアと、「リスキ
リング(学び直し)」にフォーカスしたアイデアを構築し、発表を行いました。
都会のビジネスパーソンが、地域の課題を「自分ゴト」として本気で捉え、解決策を模索
する。その凄まじい熱量に触れた 3 日間でした。コーディネーターである私たちにとって
も、多くの学びと刺激に満ちた時間となりました。
最後の何人かの方の振り返りの発言には「大崎上島に課題はないのではないか?みんな楽
しそうに暮らしている。」という最初の仮説と現実のギャップに戸惑う声も聞かれました。

この研修はここで終わりではありません。今後、事後セッションを通じてさらに深掘りし
たい点をクリアにし、島への具体的な提案や実践という形のアウトプットへ繋げてまいり
ます。
大崎上島とソトの力が化学反応を起こす。これからもそういったナカとソトが交わる場を
つくることで、双方 win-win の学びの場をつくり続けます。
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要望に沿ったアレンジを承ります。
